‘風景など’ Archive

湖畔の初雪

  今まで木綿のような雲が近づくたびに雨が降ったり止んだりしていたが、今度は絹のような雲から滑らかなカーテンが下がってきた。そして湖畔の山々の木々を白に変えていく。どんどんこっちに近づいてきて、雨具の袖や肩に綺麗な六角の […]

雪ぐも

   冷たい雨が上がり見通しが利くと、周りには、黒い雲が生き物の様にうごめいている。北海道の最高峰旭岳だけが日に照らされ、頂上付近をパティシエが仕上げの砂糖をまぶすように雪を降らしている。出来映えは良い様だ。 &nbsp […]

嵐の去った朝

   夜半。突然風が強まり、誰かが車を倒そうと揺らしている。今度は車の屋根に、たたきつける雨音。そして窓に閃光が。ラジオ番組で、盛り上がる出演者の声の上に「番組の途中ですが、大雨、雷、竜巻などの警報、注意報が出ています。 […]

記録更新

   無風快晴の朝。巨大台風が北海道の東を通過して、温帯低気圧に変った。南から熱い空気を抱えてやって来た影響で、うなぎのぼりに気温が上がっていく。いったい、どうしたんだろう、歯車がかみ合わないように、次々に記録を打ち立て […]

眠らない森

   今日も暑く、最高気温は30℃を越えた。涼しさを探して、たどり着いたカルデラ湖。日が沈むと涼しくなり、虫達の鳴き声を聞きながら湖畔の岸へ向かう。徐々に目が慣れてきて、月明かりに照らされた景色が湖面に映る。夜活動する生 […]

火の壷

  大気が不安定で、激しく降る雨も、ようやく止んみ、青空が出始めた早朝。雲が紅色に染まりだし、稜線から日が昇り始めた。大気の密度や温度差でゆらゆら揺れながら、次第に色を変えていく太陽。まるで窯で焼かれている壷のように、次 […]

踊るように

  起伏に富んだ道が続く。ようやく稜線に出て風に当たると、汗があっという間に引いてゆく。腰をおろして一服した横に、淡い水色の花が咲いていた。イワギキョウだ。似た花に、花冠にうぶ毛を生やしたチシマギキョウがある。 […]

寒い朝

   午前3時。涼しいと言うよりは寒い。真夏も防寒着が必要な大雪山。無風快晴の夜空に、銀河の渦が帯状に空を横切る。ゆっくりと飛んで行くのは、何処の国の人工衛星だろう。役目を終えた人工衛星が、地球の周りにゴミの山になってい […]

タイムトンネル

     行く手に小さく見えていた雪渓が、近づくにつれ、スキーの上手い人なら滑って楽しむことが出来ると思われるほど大きくなった。トラバース気味に下っていくと、ぽっかりと大きな雪のトンネルが口を空けている。中では、しぶきを […]

楽あれば苦あり

     歩きやすい平らな道を、景色を楽しみながら暫く歩いて行く。登りにかかると、雨や雪渓の水がたまっていて、ぬかるみ・すべり・転ぶの三拍子…。へこむ気持ちを救ってくれるように、チングルマが咲いている。中には、もう花が散 […]