うなる腕がすぐ止まる

吹雪がやんだ朝の森の中には、キツネの足跡だけしか見当たらない。ほかのみんなは何処へ行ったのだろうか。
と思いながら観察小屋に向かう。
観察小屋に着くと、風の抵抗の少ない東側の面を覆い隠すように雪に埋もれていた。
出入りは東口だ。西口にしておくと、風が隙間から吹き込み、はるか彼方に飛んでしまうことがあるからだ。
両腕をフル回転させて掘り起こすが、人間除雪機の性能は今ひとつ、型が古くすぐとまってしまう。
ひと汗かいて中に入り、紐で止めてあったのぞき窓開けたて視野を確認していると。
ふわりと木の枝にトビが止まった。
カメラテストにファインダーをのぞくと、眼光鋭い目でキョロキョロしている。トビにしては胸の色が白くなっている。
顔には「快傑ゾロ The Mask of Zorro 」のマスクをつけていた。
小動物が姿を見せない訳がわかった。

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