なまら、しばれるんでないかい

嵐が去った森の中は、隕石でも落ちたように、枝から落ちた雪玉による大小のクレータが出来ていた。沢沿いの斜面では、転がる痕を残して巨大な雪玉が沢に跳び込んでいる。

そんな沢の中を黒い影が走っていた行った。小さい木につかまりながら沢に下りてみる。水の中から出てきたと思われる足跡は、岸に沿いながら再び水の中へ消えている。エゾクロテンの足跡に似ているが、エゾクロテンは水が苦手だ。
少し行ったところに再び足跡が付いていた。雪の影から真っ黒い生き物が顔を出した。ミンクだ。国籍はアメリカだが、「なまら、しばれるんでないかい」と言っているかのようにこちらを見ている。すっかり道産子。

小林明弘

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