飾りつけ

  明け方、鋭くとがる刃のような月が上がってきた。まだ消え残る星が瞬く。気温が一気に下がっていくのを顔や手の肌が感じ取る。
 薄明の中、昨日の暖かく湿った大気のせいで、雪面や木々の枝に氷の結晶が出来はじめた。中でもアズキナシの赤い実が白く飾られた様子は、大金を注ぎ込む人工の豪華絢爛なイルミネイションに負けない美しさだ。
 やがて日が昇りあたりを照らし始めると、結晶は、きらめきながらやわらかく崩れるように落ちていく。つかの間のクリスマスの飾り。

 

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