風に揺れている

   降り続く冷たい雨。ラジオで「峠は雪、積っている所も」と女性キャスターの晴れ晴れした声が流れてくる。雨具を着けて出発だ。葉が落ちて見通しが良くなった、晩秋の湖畔林。この雨で生き物達はじっと雨が止むのを待っているのかななどと思いながら進むと、しっとりと濡れた、色とりどりの落ち葉が取水口付近を覆い尽くしている。
 綺麗だなと眺めていたら、何かが水面に飛び込んだ。若いオスのヤマセミだ。幾度も飛び込んでは目の前の枝に止まった。尾羽を上下に振ったり、頭を振って羽冠の水切りをする。
 彼らには雨も問題無し。自慢の羽冠が風に揺れるたびに、ヤマモミジの赤い葉も揺れる。

 

 

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