冬支度

 朝の気温が5℃と一桁になってきた。吐く息が白い煙となって、吸い込まれるように、カムイミンタラの紅葉の中に消えていく。最高峰の旭岳の初冠雪は近い。雲海に覆われた下界は、霧で覆われているようだ。
 岩肌に日が射しだすと、ピィッピィッピィリリリと大きな鳴き声が聞こえてきた。声のほうに目をやると、日の当たる岩の上に、ナキウサギが回の様子を見ている。おもむろに高山植物の茎を噛み切り、集めだした。餌は乾燥し、栄養価の高いものとなる。冬眠しないナキウサギは、厳しい冬の間、貯めた食料で春まで命を繋ぐ。

 

 

 

 

Leave a Reply