早朝。曇った空から雨が降りそうだ。べた凪の湖面は、体を折り曲げて股の間から見ていると、どちらが天地か錯覚するほどだ。 3頭の子鹿が湖畔の森の中から出て来た。湖面に映り込む鹿の子に、ますます酔ったような気分になる。湖底の奥から、「おいで~、おいで~」呼ぶ声が聞こえてきそうだ。 1頭の子鹿が水を飲もうと湖面に足を入れたとたん、さざ波が立ち、鏡のように映しこまれた湖面がゆらゆら揺れる。雨も降り出し、森の景色が一つになった。 森の奥からエゾシカの鳴き声が聞こえ、子鹿たちが森の中へと戻っていった。
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