力強く

   巣立ちを終えたばかりのクマゲラの雛達は、親の言いつけを守って、木の葉が繁る幹にしがみつく。鳴き声も上げずに親がやって来るのをじっと待つことで、自分の身を守ることになる。しかし、時には待ちきれなくなってクイクイクイと親を呼ぶ声が森に響き渡る。

 安全だった巣の中から覗いていたのとは違って、世界は無限なほど大きく、さぞ心細いことだろう。しばらくして親がやって来たようだ。近くの木でクリクリと小さく鳴くと、親の所へ必死で飛んでいく。飛び方もまだ下手くそだが、そこには生きようとする意志が感じられる。親から沢山のことを学び、いっぱしの若鳥となって行くのに、そう時間はかからないだろう。

 

 

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