好奇心

 早朝。倒木に座り思いっきり深呼吸をすると、冷気が咽喉に流れ込み、体の中に染み渡っていく。寒くて吸血虫達が出てこないので快適だ。抱卵中の小鳥達も、縄張りに入るよそ者を威嚇する以外、鳴かないので静だ。突然エゾシカがキャーッと何度も吼え警戒している。座っている目の前の斜面からエゾタヌキが顔を出した。さらに近づいて来たのでよく見ると、大きさはタヌキ頃だが、顔や体つきが丸くて違うな。今年生まれた羆の子供だ。あどけない顔でまじまじと私を見ている。親に呼ばれたのか、コロンコロン弾むように、来た場所を走りながら戻っていった。

 

 

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