運動会でびりだったが

  森に向かう途中、林道の脇に牧草地がある。何やらモコモコのしろっぽいセーターを着たような生き物が、芽生え始めた牧草を美味しそうに食べている。冬毛が抜け換わる途中のエゾユキウサギだ。
 近づいても逃げようとしないのは、よほど脚に自信があるからか。それとも近くに子うさぎがいるのかも知れない。安易に探し出せば、猛禽類やキツネなどの天敵に教えることになる。特にカラスは頭が良く、人がいなくなれば、子うさぎの隠れいるところへ舞い降り、目をつつき殺してしまうのだ。エゾユキウサギが自慢の耳を立てて回りの様子をうかがったかと思うと、突然走り出した。大きな後ろ足のひと蹴りで2mは跳び、あっという間に小さくなった。はるか向こうで再び立ち止まって草を食べている。
 後を追い再び近づくと、大きな後ろ足でわき腹の冬毛を落している。今度は前足で顔を洗い出した。それを横目に森へ向かう。振り向くと、まだ毛繕いをしていた。これなら、亀も追い抜いて行けそうだと、うさぎと亀の話を思い出した。

 

 

Leave a Reply