毛換わりサイン

 

日の出前。厚く垂れ込めた鉛色の雲から雪が降ってきた。日当たりの良い、雪が解け出していた所は、再び凍りついてツルツルだ。滑らないように足を乗せると、バリッバリッと大きな音が立つ。あまりの音の大きさに立ち止まると、森の中は静かに雪が降り続き、積もり始めている。
 生き物達は逃げてしまうなと思いながら、再び騒音を立てて進む。この音が気になったのか、エゾクロテンが様子を見に出てきた。キョロキョロと回りを見る鼻の周りには、毛換わりのサインの線が円く入っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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