オオタカが近くのヤナギの枝に止まった。獲物をカラスに横取りされるまでは所有権がオオタカにあったことが、嘴に付いた水鳥の羽毛で分かる。

湖畔林の奥の方でカラスが騒いでいる。そんな中を、オオタカが高度を上げて飛んできた。どうやらカラスに獲物を横取りされたようだ。

湖畔林の奥から逃げ惑いながら出て来た水鳥たちは、決して高くは飛び上がらない。オオタカはなかなか現れない。

水面近くを滑るように湖畔林の奥へと飛んで行くオオタカの鋭い爪が見える。そして水鳥たちが騒ぐ鳴き声が聞こえてくる。

身を隠す様に地面すれすれに滑空して行くオオタカ。水をかき回すような音を立てながらマガモなどの水鳥たちは、一斉に道を譲るように飛ばずに離れて行く。

止まっていた枝から勢い良く飛び出すオオタカ。行く手を阻む木々の間をぶつかる事なく巧みに交わして飛んで行く。

霧が晴れ日が射し始めた湖畔林。オオタカが体制を変えて獲物の様子をうかがっている。ヤナギの混んだ枝は隠れ蓑となり獲物から目立たない。身を守る保護と獲物に気づかれない保護色。

早朝、湖畔林の道路を歩いていると木の間から鋭い目でじっと見ている鳥を見つけた。野生の生き物たちは、こちらが見つける前にすでに観察している。こちらも遅ればせながら観察を始める。